生前整理とは、生きているうちに資産や不要品を整理してすっきりさせておくことです。
今回は、生前整理をいつ、どのように行えばいいのかお悩みの方に向けて、生前整理で整理すべきものや生前整理をすることで得られるメリット、生前整理を始めるタイミングについてご紹介します。
「生前整理」とは生きているうちに身の回りを整理すること
生前整理とは、字のとおり「生きているうちに身の回りを整理しておくこと」です。自らの死後に、遺品の整理や相続問題などで家族に負担をかけたくないという理由で行われることが多く「終活」と同義語と考えていいでしょう。
「身の回りの整理」といっても、何を整理するかは人それぞれです。ここでは、多くの人に当てはまる「整理しておくべきもの」についてご紹介します。
資産
預金通帳や保険証券、登記簿といった不動産関連書類、株券、ゴルフ会員権など、所有する資産を整理して家族にわかるように保管しておくことは、自分が死んだ後だけでなく、事故や病気で入院するときにも役立ちます。通帳や印鑑、印鑑登録証明書など、手続きに必要となるものもあわせて確認し、書き出しておくことをおすすめします。また、ネットバンキングを利用している場合は、そのログイン情報も必要です。
上記以外にも、仮想通貨やネット通販で貯まるポイントなどがあれば、換金・利用の手続きができるよう情報をまとめておきましょう。さらに、誰に何を相続するかについて希望がある場合は、遺言書を作成しておくと安心です。
加えて、保険の内容が現状に合っているかを確認したり、不要なゴルフ会員権を解約したりといったことも同時に行うといいでしょう。
不要品
長い間使っていないものやこの先使う予定のないもの、これらも生前整理で処分してしまうことをおすすめします。
たとえば、着る機会がなくタンスの肥やしと化している着物や昔買ったものの使っていない健康器具、独立した子供が使っていた勉強机などは、おそらくこの先も使うことはないでしょう。
物の処分には「要るか要らないか」を判断する気力やゴミとして出す体力が必要です。気力や体力は、歳を重ねるにつれて徐々に衰えてくるうえ、予期せぬケガや病気で処分ができなくなってしまう可能性もあります。
生前整理のなかでも、不要品の整理は、できるだけ早く元気なうちに始めるべきと言えるでしょう。
なお、体力的に困難である場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
生前整理の3つのメリット
生前整理にはさまざまなメリットがあります。ここでは3つのメリットをご紹介しましょう。
1.遺産相続のトラブルを回避できる
遺産相続は、その額が大きければ大きいほどトラブルが発生しやすくなりますが、少額であっても100%トラブルを避けることは難しいでしょう。
生前整理で保有資産をすべて洗い出し、よく考えて相続人を決めておくことで、残された家族がもめごとなく遺産を相続できる可能性が高まります。
2.遺族の負担を軽減できる
本人の死後、遺族が預金口座や保険などの解約手続きをする際に、手続きに必要なものがどこにあるのか、ほかに手続きが必要な契約はないか、といったことが把握できなければ、探したり確認したりする負担が増えます。
また、不要品に囲まれた生活をして亡くなれば、遺品整理の負担もかけることになります。
とくに、家族が離れて暮らしている場合は、手続きや遺品整理をするために、より多くの時間と労力が必要です。必要最小限の手間ですむよう、できるだけ生前に整理・処分しておきましょう。
3.生活しやすくなる
不要品を処分して家の中をすっきりさせれば、毎日の生活がとても快適になるというのも生前整理のメリットです。必要なものだけに囲まれているため探し物が減り、ストレスが軽減されます。
また、物が少ないと室内での移動がしやすくなるため、ぶつかったりつまずいたりすることによるケガのリスクも低くなるでしょう。
とくに、高齢者は転倒による骨折で寝たきりになるリスクが高いため、不要品を処分してすっきりと暮らすことは、大きなメリットとなります。
生前整理を行うタイミング
生前整理は、いつまでに行わなければならないといった決まりはありませんが、以下のようなことをきっかけに始めてはいかがでしょうか。
子供が独立して夫婦2人の生活になったとき
子供が一緒に住んでいると、不要品の整理が難しい場合もあります。子どもが独立して夫婦ふたり、あるいは自分ひとりになれば、生前整理も進めやすいでしょう。
定年退職したとき
定年退職して第二の人生を始めるタイミングも、生前整理を始めるきっかけとなります。身の回りをすっきりさせれば、新しい生活もより快適なものとなるでしょう。
「生前整理」を知ったとき
高齢の方でなくても、いつどんな状況に陥るかわかりません。「生前整理」という言葉を知ったときに始めてみるのもいいでしょう。
これからの生活と家族のために生前整理を始めよう
不要品を処分して住空間をすっきりさせれば、生活の質が向上します。また、万一の場合に家族が困らないように資産を整理しておくと、不安材料が減り、心穏やかに暮らすことが可能です。これからの生活を快適にし、家族に負担をかけないためにも、早めに生前整理を始めましょう。